第32回 福岡オルターナティブ研究会のご案内

志民社会学習会 フェミニズムの現時点

日時:2017年3月11日(土)午後2時~5時

場所:西南コミュニティセンター(西南学院大学キャンパスの最東南側)

   2階会議室

   〒814-8511 福岡市早良区西新6丁目2-92

   電話:092-823-3952 (地下鉄西新駅3番出口から海側に徒歩数分)

テーマ:フェミニズム思想・運動の系譜と今日の課題

講師:富永桂子さん(とみながけいこ、NPO法人ジェンダー平等福岡市民の会理事長)

 1975年9月 九州大学大学院文学研究科西洋史学専攻修士課程修了(文学修士)

 2000年6月 Greenwich University Ph.D. in Women’s Studies (グリニッチ大学女性学博士)。

現在は、久留米大学大学院非常勤講師(ジェンダー研究)、福岡大学非常勤講師(西洋史)などをし、福岡女性学研究会会員である。著書に『ジェンダーの西洋史』(共著)1998法律文化社、『比較ジェンダー論』(共著)2005ミネルヴァ書房、『性別役割分業は暴力である』(共著)2011現代書館がある。

報告要旨:

フェミニズム思想・運動の系譜を、フランス革命期の「人権宣言(原文『男性と男性市民の権利宣言』」に対抗して出された、オランプ・ド・グージュの「女権宣言(原文『女性と女性市民の権利宣言』)」からたどっていきます。

次いで、女性参政権獲得をめざした第一波フェミニズム、第一波フェミニズムと第二波フェミニズムをつなぐボーヴォワールの『第二の性』、そしてこれまで女と男を私/公の2項に配置してきた社会構造を揺るがす“Personal is Political(個人的なことは政治的)”のスローガンを打ち出した第二波フェミニズムまでを概観したいと思います。

今日フェミニズム思想・運動の課題として、ジェンダー・身体・再生産労働・グローバリゼーション・セクシュアリティなどのキイワードを挙げることが出来ます。たとえばセックス=生物学的性差、ジェンダー=社会的・文化的性差として使用されるセックスとジェンダーについて、ジュディス・バトラーは自著『ジェンダー・トラブル』において「『ジェンダーはセックスの上に構築される社会的・文化的性差である』という定義は十分なものではなく、『ジェンダーによってセックスという虚構が構築される』と、定義しなおさなければならない」、としています。

また身体について、今日ほど潜在的資源として身体とその「有効利用」に関心が注がれ、有形無形のテクノロジーが家庭や社会の隅々まで浸透するようになってきた時代はなかったと、いわれています。さらに「同性婚」は20カ国以上で容認されていますが、「外と内」の分業をどんな理由で目に見える性別とは異なって行うのか、あるいは行わないのかを自らにも他者にも問う点で、同性カップル家族は性別役割の根幹に迫る、という考察もあります。

このようにキイワードのいくつかを取り上げて新たなフェミニズムをめぐる課題について考えてみたいと思います。

参考文献:

竹村和子2000『フェミニズム』岩波書店

江原由美子・金井淑子編2002『フェミニズムの名著50』平凡社

足立眞里子2007『フェミニスト・ポリティクスの新展開:労働・ケア・グローバリゼーション』明石書店

天野正子・伊藤公雄・伊藤るり・井上輝子・上野千鶴子・江原由美子・大沢真理・加納実紀代編2009『新編 日本のフェミニズム 2 フェミニズム理論』岩波書店

同編2011『新編 日本のフェミニズム9 グローバリゼーション』岩波書店

風間孝・河口和也2010『同性愛と異性愛』岩波新書

江原由美子2012『自己決定権とジェンダー』岩波書店

荻野美穂2014『女のからだ フェミニズム以後』岩波新書

オルタ32