10月12日の学習会は中止します。(台風により講師来福が難しいため〉

第44回福岡オルターナティブ研究会のご案内

志民社会学習会

右翼排外主義とナショナリズムの世界的跋扈をどう考えるか

日時:2019年10月12日(土) 午後2時〜5時

場所:西南コミュニティセンター2階会議室

(西南学院大学キャンパスの最東南側の建物)

〒814−8511 福岡市早良区西新6丁目2−92

電話:092−823−3952(地下鉄西新駅3番出口、徒歩数分)

テーマ:グローバル化する右翼運動と日本のナショナリズム

―――天皇制=ナショナリズムの再定義の試みーーー

講師:小倉利丸さん(富山大学名誉教授)。

1980年 東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学。2015年まで富山大学で現代資本主義、政治経済学、グローバル文化論などの講義を担当。著書に『絶望のユートピア』(桂書房)『多様性の全体主義、残酷な民主主義』(インパクト出版会)など。今年に入って福岡のサウンドデモ裁判など本人訴訟の記録本『デモはラブレター』(樹の花舎)を監修。社会運動、市民運動向けに、共謀罪に対抗するネットのセキュリティのセミナーなどを開催している。表現の不自由展・その後実行委員でもある。

報告要旨:極右排外主義の大衆運動が世界中を席巻しているといっても過言ではない状況になってしまいました。日本の安倍政権は極右政権にもかかわらず「保守」としか定義しない奇妙な日本のメディア報道が、奇妙ではなくなりつつあります。というのも政治潮流の「端」に位置していた右翼の勢力がいつのまにかメインストリームに踊り出てしまっているからです。トランプは言うまでもありません。民主主義発祥の地、西欧諸国も次々と極右の政治的な影響を無視することができなくなっています。英国のEU離脱とボリス・ジョンソンの首相就任(かなり脆弱ですが)、ドイツ東部を中心に極右政党の伸長が著しく、南欧スペインではフランコ独裁の流れを組む勢力VOX、ギリシアの黄金の夜明けなど、東欧はおしなべて極右の影響著しく、北欧もまたスウェーデン民主党などがもはや無視できない影響力を持つようになっています。ヨーロッパ以外でも、ロシア、トルコ、ヒンドゥ原理主義政党が政権を握るインド、そして世界社会フォーラム発祥の地、ブラジルもまた極右社会自由党のボルソナロが政権についています。

こうした傾向は、極右のグローバル化ともいえる現象です。その特徴は、端的にいえば、経済に対する文化の逆襲です。これはまた、グローバル資本主義がもたらした構造的な矛盾の政治的な表れであるともいえます。文化のなかには、宗教や文学、芸術などから哲学や思想、大衆的な音楽やサブカルチャまでが含まれます。国民国家の統合にとって文化が果す役割は無視できません。同時に経済もまたサービス化、情報化のなかで文化のコンテンツ生産部門としての役割を担ってきました。そして、環境やジェンダーといった課題もまた、文化的な価値観によって大きく見解が対立する分野となっています。

他方で、日本国内のナショナリズムの問題が議論されるときに避けられない重要な課題が、天皇制に関わる問題であるという点は異論のないところだと思います。戦後日本の象徴天皇制はまさに「文化」をその象徴的な権力の基盤に据えてきましたから、現代の極右の台頭にみられる「文化」の問題と響きあう状況がでてきているともいえます。

しかし、グローバルな極右の台頭と日本の天皇制=ナショナリズムのありかたの間にはどのような関わりがあるのか、という問題についてはまだ十分に議論されていないようにも思います。今回の報告は、グローバルな極右が掲げる様々な「近代の超克」とでもいうべき傾向と日本の天皇制とナショナリズムが内包させてきた「近代の超克」とでも言うべき観点を突き合わせて議論してみたいと思います。

参考文献

1 小倉利丸 「反資本主義の再定義―台頭するグローバル極右を見据えて」

2 小倉利丸 「憎悪の美学――天皇=平和言説の根源にあるもの」『季刊ピープルズプラン』81号。

参加費:無料(会の趣旨に共感される方はどなたでも参加できます)。

終了後、近くの居酒屋 (「じゃがいも弐番館」)で講師を囲む懇親会を予定しています。

主催:福岡オルターナティブ研究会, FNA(エフナ・ADB福岡NGOフォーラム)

連絡先:fna@minos.ocn.ne.jp      Fax:092-920-1873

資料準備の都合上、参加を希望される方は事前にご連絡ください。

チラシオルタ44