第36回オルターナティブ研究会 志民社会学習会
音の世界史——「耳が音を聴く」とはどういうことか?
日時:2017年11月25日(土) 午後2時〜5時
場所:西南学院百年館(松緑館)2階会議室(西南学院大学キャンパスの最東北側)
(いつもの会場である西南コミュニテイセンターの北側二つ目の建物です)
〒814−8511 福岡市早良区西新6丁目2−92
電話:092−707−0452(地下鉄西新駅3番出口、徒歩数分)
テーマ:響きの考古学〜音律再考
講師: 藤枝守さん(ふじえだまもる、九州大学大学院芸術工学研究院教授、作曲家)
カリフォルニア大学サンディエゴ校音楽学部博士課程修了。博士号(Ph.D. in Music) を取得。 作曲を湯浅譲二やモートン・フェルドマンらに師事。 植物の電位変化データに基づく《植物文様》を展開。著書として、『響きの考古学』など。最近のCDとしては、西山まりえの演奏による《ゴシック・ハープの植物文様》やサラ・ケイヒルのピアノによる《Patterns of Plants》など。12月15日にアクロス福岡円形ホールで博多織の機音による現代舞楽「織・曼荼羅」という舞台作品が初演される予定。現在、九州大学大学院芸術工学研究院教授。
報告要旨:
われわれの周囲には、いろいろなジャンルの音楽が溢れています。このような多彩にみえる音楽をわれわれが自然に受け入れている背景には、ある音の基準の存在があります。この音の基準は、「平均律」と「標準ピッチ」という二つのファクターによってかたちづくられています。そして、この基準のうえで、絶対音感とよばれる特異な(奇異な)能力が生みだされました。
このような「平均律」と「標準ピッチ」という音の基準は、西欧において音楽が近代化する過程で採用されたものです。そして、近代以降、西欧音楽が急速に世界中に伝播していくなかで、この基準が世界的な領域で現代人の耳(つまり、音の聴き方)を方向づけたといえるでしょう。さまざまなタイプの音楽を違和感なく受け入れることができるのも、この音の基準が隅々にまで行き渡った証拠といえます。
「響き」と音律という基準との相互性のなかで方向づけられた「耳」という感性の所在を明らかにするという視点にたつと、「平均律」がもたらした近代・現代の「耳」を相対化することができ、われわれの感性が「平均律」によって支配されていたことを知る契機となるでしょう。「つくられた耳」という認識をもつことで、あらたな音楽の多様な方向がみえてくると思われます。
参考文献:
藤枝守:響きの考古学―音律の世界史からの冒険 (平凡社ライブラリー)
藤枝守:響きの生態系―ディープ・リスニングのために (フィルムアート社)
鎌田 東二 編スピリチュアリティと芸術・芸能 〜講座スピリチュアル学(ビイング・ネット・プレス)
参加費:無料(会の趣旨に共感される方はどなたでも参加できます)。
終了後、近くの居酒屋で講師を囲む懇親会を予定しています。
主催:福岡オルターナティブ研究会 FNA(エフナ・ADB福岡NGOフォーラム)
資料準備の都合上、参加を希望される方は事前にご連絡いただくようお願いします。
第36回は、これまでの研究会とは全く趣を変えて、音楽の世界の新しいお話をお伺いします。近代西洋音楽のみならず、非西洋の音楽や世界中の先住民族の音楽から、最先端の現代音楽に至る、さらには講師の開拓された<植物文様>や「機音」の音楽など、何が飛びだすのか、楽しみです。