第33回 福岡オルターナティブ研究会

志民社会学習会 社会的連帯経済とは?

日時:2017年6月3日(土)午後2時~5時

場所:西南コミュニティセンター(西南学院大学キャンパスの最東南側)

2階会議室

〒814-8511 福岡市早良区西新6丁目2-92

電話:092-823-3952  (地下鉄西新駅3番出口から海側に徒歩数分)

テーマ:社会的連帯経済

講師:廣田裕之さん(ひろたやすゆき、スペイン・バレンシア大学博士課程在籍)

2000年3月 九州大学文学部仏文科卒業。2002年3月 東京大学大学院総合文化研究科国際科学社会専攻修士課程修了。2012年12月にスペイン・バレンシア大学 社会的経済・協同組合および起業大学研究所(IUDESCOOP)の修士課程を修了。現在博士課程に在籍し、まもなく修了予定。1999年より地域通貨(補完通貨)の研究に取り組み、その関係から社会的連帯経済について知る。著書「地域通貨入門-持続可能な社会を目指して」(アルテ)、「シルビオ・ゲゼル入門」(アルテ)、「社会的連帯経済入門-みんなが幸せに生活できる経済システムとは」(集広舎)。

報告要旨:

社会的連帯経済には後述するようにさまざまな事例が含まれますが、非資本主義的で民主的な運営を重視し、人間(労働者のみならず消費者や地域住民なども)や環境を重視した経済活動を行うという点が共通していると言えます。 日本ではなじみがないものの、ラテン系諸国を中心に世界に広がり、国連諸機関でも注目度が増しているこの社会的連帯経済について、以下の4つの観点から眺めてみたいと思います。

1 世界における社会的連帯経済。伝統的な社会的経済(協同組合・NPO・財団など)と連帯経済(フェアトレード、有機農業、倫理銀行、地域通貨など)から構成される社会的連帯経済の概念を定義したり、世界的なネットワークについて紹介したりした上で、ヨーロッパ、中南米、アジアなどで勃興している社会的連帯経済の実例を紹介します。

2 分野別に見た社会的連帯経済。社会的連帯経済は様々な事例から構成されますが、その中でも重要性が特に高い協同組合、社会的企業、フェアトレード(内なるフェアトレードとも呼べる産直提携を含む)や地域通貨・倫理銀行について紹介します。

3 社会的連帯経済推進のためのツール。公共政策、マーケティング、そして地域開発について、社会的連帯経済の促進という観点から紹介します。マーケティングは資本主義的なツールという印象が強いですが、商品やサービスを提供するという点では社会的連帯経済も同じですので、その商品をいかに消費者に受け入れてもらうかという観点は欠かせません。

4 日本における社会的連帯経済。社会的連帯経済が盛んなラテン諸国とは文化的にも経済構造的にもかなり違う日本ですが、国際的に見た場合にはかなり重要な事例も少なくありません。今回の報告を締めるにあたって、日本における社会的連帯経済の発展の歴史を紐解いた後に、日本の課題について検討したり、また福岡など日本各地で社会的連帯経済を推進するコツを紹介したりしたいと思います。

参考文献:

1  廣田裕之 『社会的連帯経済入門』 集広舎 2016年。

2 社会的経済─近未来の社会経済システム(J・ドゥフルニ、J.L.モンソン編、富沢賢治訳)、日本経済評論社。

3 連帯経済─その国際的射程(J・L・ラヴィル編、 北島健一、鈴木岳、中野佳裕訳)、生活書院。

4  イタリア社会的経済の地域展開(田中夏子著)、日本経済評論社。

5 雇用なしで生きる(工藤律子著)、岩波書店。

6  協同組合を学ぶ(中川雄一郎・杉本隆志著)、日本経済評論社。

7  フェアトレード学─私たちが創る新経済秩序(渡辺龍也著)、新評論。

8  これからのマイクロファイナンス─新しい金融への挑戦と可能性、震災復興の扉を開く鍵

(上原優子著)、TAC出版。

参加費:無料(会の趣旨に共感される方はどなたでも参加できます)。

終了後、近くの居酒屋で懇親会を予定しています。

主催:福岡オルターナティブ研究会、FNA(ADB福岡NGOフォーラム)

資料準備の都合上、参加を希望される方は事前にご連絡頂くようお願いします。

連絡先:fna@minos.ocn.ne.jpまたはFax:092-920-1873

第33回研究会は、本研究会の第1回(2010年9月)の講師を務めてくださった広田さんが、スペイン在住のままで、再登場してくださり、本研究会初めての試みとしてスカイプによるスペイン(講師)と日本(参加者)とを結んだ研究会となります。連帯経済の過去7年の進展がどのようなものであったかを総括するお話が伺えるものと期待しています。終了後の懇親会は、講師がいないままでの参加者だけによる交流会となります。

オルタ33